大阪府の地図を広げ、京都との境界線あたりに目をやると、

いわゆる北摂地方に属する島本町という地名が飛び込んできます。

お隣は、運命の分かれ道としてよく使われる「天王山の戦い」の語源となった土地。

今回は、そんな街で出会うことのできるジビエ料理専門店をご紹介しましょう。

 

阪急京都本線・水無瀬駅から歩いて2分ほど行くと、鹿の角が飾られた

「RISTORANTE Co.N.Te（リストランテ コンテ）」のエントランスが見えてきます。

店内はイタリアの街中にある飾らないレストランといった雰囲気。

何度となく通えるカジュアルさが魅力となっています。

 

もともとは高槻市の上牧というところにあったのですが、2019年にこちらへ移転してきたんだとか。

その際に作られたのが、「島本Pizza（鹿）」というメニューです。

生地にはパーネ・カラザウを取り入れ、具材には店主自身が狩猟し、血抜きなどの

下処理を施した新鮮な鹿肉を使っています。

 

地中海に浮かぶサルデーニャ島でおなじみの食べものが、はるか遠く日本の島本町で育った

野生動物と巡り合う―考えてみれば、とっても不思議なことです。

 

素材の本質を見極めるという意味では、「猪肉のロースト」ほどふさわしいものはないでしょう。

2週間熟成の手間をいとわずに、されど、味つけはあくまで抑え気味に。

醍醐味を余すことなく引き出す試みは、とらえた生きものたちへの敬いの気持ちが前提にあるからこそ―

そんなふうに思えてきます。

 

「トスカーナ風猪肉の煮込み」は、レンズ豆とごぼうを使い、まるで家庭料理のような出来栄え。

パルマ産生ハムや本日の前菜などが並ぶコース料理のメインには、「ジビエ鍋」が登場します。

鹿の骨と肝、多種多彩な野菜のエキスがスープにしみ込んで、「パンのおじや」も

またご馳走という他ない仕上がりになっています。

 

山の恵みを街に暮らす人へとつなぐ「RISTORANTE Co.N.Te（リストランテ コンテ）」。

その活動は、島本町の新しい象徴となる可能性を秘めています。